狭心症

心臓は左腕にあるこぶし大の臓器ですが、生まれてから死ぬまで全身に血液を送り続けるポンプの役割をしています。その本体は実は筋肉でできた袋と考えることできますが、この筋肉に栄養を送る血管が3本あり、これらの血管はちょうど心臓を外側から包み込むようにあるいは冠のように心臓にかぶさるように分布して筋肉の中に細い枝を出して栄養しているため「冠動脈」と呼ばれています。

もしこれらの動脈のどこかに動脈硬化が進んでその内側が狭くなってくると心筋に十分な血液を送ることができなくなりそれが胸の痛みとして現れるというわけです。特に階段を上ったときや重いものを持ったときなど心臓に負担がかかるような状況ではこうした発作が起こりやすく、これが狭心症です。

冠動脈がつまったり、せまくなったりするために、心筋虚血といって心臓の筋肉におくられる酸素が少なくなっておこる症候群です。
心臓へ酸素をはこんでいるのは冠動脈である。
これがせまくなると、血液が心臓におくられなくなって酸素が不足し、狭心症の発作がおきる。痛みが胸骨の裏側でおこるが、痛みの程度は、漠然として、あまり自覚できないものから、強くしめつけられるようなものまであり、放射状に広がって、ときには腕から肩、指先のほうまで痛む。

痛みの強さは人によってさまざまだが、数分後にはおさまり死ぬことはない。とくに中高年の人で動脈硬化があると、体をうごかしたとき発作がおきることが多く、食後や寒冷の日にはとくにふえる。

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●治療法

発作がおきたら、まず安静にする。
ニトログリセリンを舌の下にふくむと、30秒から3分ほどで痛みがおさまる。舌下錠とスプレーがあり、発作時には速やかに吸収される。

予防には、血管拡張作用のある硝酸イソソルビド(ISDN)のほか、カルシウム拮抗薬やベータ遮断薬などがつかわれる。また手術や、カテーテルで冠動脈を広げる治療方法も盛んにおこなわれている。

狭心症になりやすい人とは?

ではこれらの病気にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?まず、病気というものはその病気になりやすい人となりにくい人がいます。虚血性心疾患になりやすい人とはどういう人かというと、

@血圧の高い人(高血圧症)

Aコレステロール或いは中性脂肪の高い人(高脂血症)

Bたばこを吸う人(喫煙)

C糖尿病の人

D太っている人(肥満)

E尿酸の高い人(高尿酸血症)

F血縁に虚血性心疾患患者がいる人

Gストレスの多い人

などがあげられます。

早期発見について

次に重要なのは早期発見です。どんな名医でもその患者さんが病院に来ない限り救うことはできないわけですから自分自身でおかしいと思って医師を訪ねることが重要なのです。
典型的な狭心症の症状とは体を使ったときに胸の症状が現れるというパターンです。たとえば階段を上った後に胸が締め付けられるように或いは圧迫されるように感じるが少し休むと楽になるといった具合です。
狭心症の症状というのは胸の痛みであることが最も多いのですが人によってその感じ方が違います。「胸が詰まる感じ」、「胸から首筋にかけて締め付けられるような」、「背中が痛む」、「左肩から左腕にかけて痛む」、「胃が痛い」、など患者さんは実に様々な表現をされます。

また、階段を上った時でなく重いものを持った時に症状が出る人もいますし長い坂道を上って行く時、自動車を運転している時など、症状の出る状況もいろいろです。重要なのは今までになかった胸部症状が労作をしたときに出現し休むと消失するという事です。

さて、狭心症の症状は労作時のみとは限りません。つまりじっとしているときでも起こることがあります。このタイプの狭心症で有名なのは真夜中或いは明け方から午前中にかけて胸部症状が出現するものです。

「最近きまって朝の5時頃に胸が締め付けられるような症状で日が覚める」という方は要注意です。